 | 『鉄道員(ぽっぽや)』 東映 price : ¥5,040 release : 2001/12/07

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不器用な乙松と幻想
幼くして死んだはずのユッコが、成長した姿で乙松の前に現れる。この筋書きは違和感たっぷりだ。しかし、原作者の浅田次郎氏の作風は、たいていこんな調子だ。多くの小説作品では、悲劇的であっても、ハッピーエンドであっても、違和感を伴う幻想が、物語を組み立てている。しかし、そこから読み取れるものは、違和感ではなく、悲哀や厳しい現実に伴う哀愁だ。
下手をすると、この物語は出来過ぎた、作為的な悲劇とも捉えられかねない。しかし、一方でシンボリックに描かれているのは、仕事一途過ぎる不器用な男・乙松の生き様だ。最愛の身内の不幸より、仕事を優先するというあたりは、常識では理解に苦しむ。不器用な乙松を演じるのは高倉健というのも適役過ぎる。
極端に不器用な乙松の振る舞いと、幻想という、二つの非現実的な事柄が、美しい大自然と共に描かれる。何より、絵が美しい。違和感は伴うが、それでも、時間を忘れて浸る事が出来るし、心が大きく動かされる。
心が大きく動かされるという事実をもってして、 私はこの作品を強く支持する。
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